西海における高齢者?の考察

なかなか水温が上がらない中、それでも潜らずにいられない性分を恨めしく思う今日この頃。新しい発見や感動を求めて精進(格好つけすぎ?)しております。

さて、前回はモモイロサルパの大発生をご案内しましたが、ホンの数日後にはきれいさっぱりその姿は見当たりません。旬のモノとは言え、もう少しじっくり観察したかったなあと、改めて出会いのタイミングの妙というものを実感した次第であります。

今回目に留まったのはオニカサゴです。西海では特に珍しい生き物ではありませんが、その天才的な擬態能力の高さゆえ、なかなかお目にかかれない魚です。普段は岩場の影にその姿を溶け込ませ、見事なカモフラージュ技術を見せてくれる(いや、見せてくれない…のか?)のですが、今回のヤツは砂地にポツンと転がっている石に寄り添っていたので、頭隠さず尻も隠さず状態。
このオニカサゴ、地元ではジイヤンホゴとも呼ばれています。口元の皮弁の様子から、髭を生やしたおじいちゃんを連想させるからだそうで、見事ベストネーミング! 「名は体を現す」をまさに体を張って忠実に実践しています。
ジイヤンホゴin西海

思えばお年寄り的な名前がついた生き物は割と多く、西海でも「翁」がついたオキナヒメジやオキナメジナ、「姥」がついたハシナガウバウオなどが見られます。名前の由来については諸説あるのでしょうが、生まれたてでも「翁」や「姥」ではかわいそうな気も…。

人間社会は高齢化を向かえ、さまざまな問題が露呈してきていますが、海中の世界も高齢化を迎えるのでしょうか? 

そうなると「オジサン」も「オジイサン」になる?

旬のモノではありますが…

日中は暖かい日が続くようになってきました! 冬眠中のダイバーも多いかと思いますが、ダイビングは年間を通じて楽しめる遊びです。是非、海中の季節の移り変わりを楽しんでください。
とは言え、花粉に悩まされる時期でもありますが…。

エントリーすると一瞬ヒヤリとする水温16?17℃。今時分はこんなものでしょうか。ドライスーツや6.5ミリ2ピーススーツならヘッチャラです。
透明度もまずまずの条件で、海は青く明るく心地よい景観です。

が、しばらく潜り進むと様子が一変。海中が薄暗く淀んでいる感じです。よ?く目を凝らすと見えてくるのは、なんとモモイロサルパ大群!
クラゲのように浮遊して生活していますがホヤの仲間だそうで、個虫と呼ばれる個体が長く連なって浮いています。長いものは2メートルほどもあるでしょうか。ウネウネと螺旋を描き泳いでいる(?)ものや、2つの連鎖が絡み合っているもの、大きさもさまざまで観察するにはもってこいの状況です。

じっくり観察すると味がある生き物だと思うのですが、あまりに多いのはどうでしょう? 好みは分かれるところですが、長モノ系がダメな人は一刻も早くこの場から立ち去りたいことでしょう。
スナギンチャクに絡まって(食われて?)いるものもいて、この辺はかなりシュールというかグロテスクというか…。
個人的には嫌いじゃないんですよ。連鎖でくねっている姿なんかかわいいと思うし。いや、ホントに。

とにかく、この時期ならではの旬のモノ。是非楽しんでもらいたいものです。
全国のモモイロサルパの研究者の方々、この時期は西海へどうぞ!